いつも CLOMO をご利用いただきありがとうございます。
カスタマーサクセス担当の黒谷と申します。
これまで日本国内モデルでは物理 SIM と eSIM の両方が利用可能でしたが、iPhone 17 シリーズから物理 SIM スロットが廃止されたことを受け、法人デバイスにおいても完全な eSIM への移行が本格化しています。
そうした中で「物理 SIM から eSIM に切り替わるにあたり、デバイス管理上の新たな懸念点はないのだろうか?」と不安に思われている管理者様も多いのではないでしょうか。 本コラムでは、eSIM 化に伴う管理上の注意点や、意図しない操作を CLOMO で制限するためのポイントをご紹介いたします。
目次
業務用デバイスで eSIM を利用する場合の懸念点とは
物理的な SIM カードから eSIM に変わることで、「SIM ピンを使ってカードを抜き差しする」という物理的な手順がなくなり、すべて画面上の操作だけで回線設定が完結するようになります。
この手軽さがゆえに、企業管理においては以下のような 3 つの懸念点が考えられます。
懸念点①:eSIM 回線の私物化と意図しない削除
eSIM は物理的な SIM スロットの空き状況に関係なく、設定アプリから QR コードを読み込むだけで簡単に複数の通信プランを追加できてしまいます。
そのため、例えば、閉域網を利用する会社指定の SIM 以外の通信経路を追加するなどのシャドー IT リスクがあります。
また、ユーザーが設定画面を操作中に誤って会社の eSIM 情報を削除してしまうケースも考えられます。
懸念点②:デバイスのローカル初期化による eSIM 回線消失
パスコードの複数回入力間違いによる初期化や、ユーザーが設定アプリから自ら「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行した場合、eSIM 情報まで削除されてしまう可能性があります。
eSIM 情報が初期化と共に消去されてしまうとデバイスを再セットアップする際に、通信キャリアへ連絡して QR コードなど再度手配しなければならず、大きな手間とコストが発生してしまいます。
懸念点③:私用デバイスへの不正な eSIM 回線移行
iOS の 「eSIM クイック転送」 機能を利用すると、近くにある iPhone 同士で画面の案内に従って、簡単に eSIM を別のデバイスへ転送できます。
参考:iPhoneでeSIMを設定する(Apple 公式サポート)
https://support.apple.com/ja-jp/118669
例えば、「月末で個人のスマホのデータ容量が足りなくなったから、一時的に会社のプランを自分のスマホに移して使おう」と、従業員が会社の eSIM を個人の iPhone へ勝手に転送してしまうケースが考えられます。
参考情報)モバイル通信開通の方法が異なる
これまで物理 SIM の場合は、管理者がキッティングの最後に「SIM ピンでカードを挿す」ことで確実に開通させることができました。
しかし eSIM の場合、キッティング時のモバイル通信設定項目から「QR コードを読み込む」あるいは自動でプロファイルが配信されるといった「画面上の操作」で開通が進みます。
物理的な制限がなくなったからこそ、上記のような懸念に対して MDM によるシステム的な制限を検討する必要があります。
CLOMO MDM で制限するにはどうすれば良い?
上記で挙げた懸念点は、決して eSIM になって初めて生まれたものではありません。「SIM カードを抜いて個人のスマホに入れる」といった私物化や持ち出しのリスクは、物理 SIM の時代から存在していました。
しかし、eSIM へ移行したことで「SIM ピンなどの道具が不要になり、画面操作だけで誰でも簡単に回線の操作ができてしまう」という手軽さが加わり、そのリスクはより顕在化しやすいのではないかと考えています。
そのため「制限設定プロファイル」を活用し事前に機能を制限しておくことが推奨されます。eSIM 運用において見直しておきたい、3つの具体的な設定項目をご紹介します。
「制限設定プロファイル」の詳細については、制限設定プロファイル作成・編集・複製・削除をご参照ください。
懸念点①への対策:「eSIM 設定の変更を許可」のチェックを外す
ユーザーによる勝手な eSIM の追加や、誤操作による回線の削除を防ぐための設定です。
CLOMO PANELでこの項目のチェックを外してプロファイルを適用すると、デバイス側の「設定」アプリ >「モバイル通信」内にある「eSIM を追加」や「eSIM を削除」といった項目が非表示またはグレーアウトし、ユーザーによる回線操作を制限できます。

【要注意】制限設定プロファイルを適用する「タイミング」について
キッティング時に、この「eSIM 設定の変更を許可」が制限されると「eSIM プロファイルの初回読み込み」が制限されてしまう可能性があります。
そのため、eSIM の開通が完了してユーザーへ配布する段階で、制限をかける運用が確実です。
懸念点②への対策:「すべてのコンテンツと設定の消去中にeSIMを強制的に保持」にチェックを入れる
パスコードの複数回入力間違いによる自動初期化や、ユーザーが設定アプリからデバイスを初期化した際に、会社の eSIM が巻き添えで消えてしまう事故を防ぐ設定です。

初期状態ではこの制限はかかっていません。チェックを入れて制限を適用することで、デバイスがローカル初期化される際、強制的に eSIM プロファイルを削除させる項目が非表示となり、eSIM プロファイルがデバイス内に維持されるようになります。
懸念点③への対策:「別のデバイスへのeSIMの転送を許可」のチェックを外す
会社の eSIM 回線を、個人の iPhone など別のデバイスへ「クイック転送」されてしまうリスクを防ぐための設定です。

△上記の画像は中央の eSIM デバイスを、制限を適用したデバイス(左)と、未適用のデバイス(右)に近づけた際の挙動の違いを検証した画像です。プロファイル適用デバイスには、転送を求めるポップアップ自体が表示されなくなります。
この制限を利用することで、会社の iPhone から他の iPhone へ eSIM 情報の転送を防止できます。これにより「会社の回線を自分のデバイスに移して使おう」といった不正な持ち出しを防ぐことができます。
CLOMO MDM で利用できるその他の eSIM 関連機能と注意点
ここまで eSIM の MDM 制限設定についてご案内しましたが、CLOMO には他にも eSIM 運用に関連した機能や、日々の運用業務で気を付けるべきポイントがいくつか存在します。
ここからは、知っておくと役立つ4つのトピックをご紹介します。
ADE ご利用の方限定:キッティング時の「ADE プロファイル」設定(モバイル通信を設定)
デバイスをキッティングする際、CLOMO の「ADE プロファイル(iOS 設定アシスタント)」にある「モバイル通信を設定」という項目で、初期セットアップ中の eSIM 開通画面の表示・スキップを制御できます。
チェックを入れることで初期セットアップ中にモバイル通信の設定画面が表示され、
反対に、チェックを外してこの手順をスキップさせることで、「キッティング中にモバイル通信の開通をさせず、Wi-Fi 環境下で MDM 設定を完全に終わらせてから、ホーム画面到達後に開通させる」といった、自社の運用手順に合わせた柔軟な対応が可能になります。
eSIM の開通方式(キャリアアクティベーションの有無など)により、初期セットアップ時の挙動がキャリアごとに異なりますので、事前に実機での検証をおすすめいたします。
「ADE プロファイル」の詳細については、ADE プロファイル作成・削除・適用をご参照ください。
Devices 画面における eSIM デバイス表示
CLOMO PANEL の Devices 画面では、eSIM を利用しているデバイスの電話番号情報などの欄に「(eSIM)」と明記されるため、どのデバイスが eSIM で運用されているかを画面上で一目で識別することが可能です。

また、CLOMO では 2 つの回線を同時に利用できる「デュアルSIM(デュアルeSIM)」に対応しています。
ユーザーが勝手に個人の eSIM を追加した場合、CLOMO の管理画面上に「個人の回線を含めた2つの電話番号」が並んで表示されます。
意図しない電話番号が増えた場合は、シャドー IT が行われている可能性があるため、該当デバイスの利用者への確認をおすすめします。
【要注意】デバイス初期化コマンド実行時の「eSIM を削除」
キッティングのやり直しやデバイス不具合などで、CLOMO PANEL のコマンドから「デバイスを初期化」を実行する際、最も注意していただきたいのがオプション項目の「eSIM を削除」です。

チェックした状態で初期化コマンドを実行すると、デバイス内の eSIM プロファイルまで完全に消去されます。
このチェック項目は、「回線を解約する」「デバイスを完全に廃棄する」といった eSIM を使わなくなるタイミング以外はチェックを入れないよう、運用いただくことをおすすめいたします。
参考情報)「eSIM プロファイルを更新」コマンド
CLOMO では、eSIM 専用の識別子である「EID」を画面上で確認・CSV 出力し、「eSIM プロファイルの更新」コマンドを実行することで、遠隔からアクティベーション用の URL を配信してリモートで eSIM を有効化する機能を提供しています。

本機能は、以下のような条件を満たす環境にてご利用が可能です。
- 実行時にデバイスが Wi-Fi 等のインターネットに接続されていること
- 一般的なカメラでの QR コード読み取り方式ではなく、MDM 経由のサーバー URL 配信方式に対応していること
- 事前に通信キャリア側へ対象デバイスの EID 登録が済んでいること
実際の対応可否については、事前にご契約の通信キャリア様へもご相談ください。
自社のキャリア契約の仕様やキッティング体制に合致する場合の選択肢の一つとしてご検討いただけますと幸いです。
まとめ
今回は、「物理 SIM から eSIM への移行に伴う管理上の影響と、CLOMO で実施すべき制限および関連設定」についてご紹介いたしました。
物理 SIM の廃止というハードウェアの大きな変化に戸惑うことも多いかと存じますが、
CLOMO のプロファイル設定を事前に確認しリスクを未然に防ぐことで、これまでと同じように安全・確実なデバイス管理を実施いただくことが可能です。
貴社のデバイス運用においても、ぜひ本記事のチェックポイントをご活用いただければ幸いです。