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今回は、タクシーアプリ「S.RIDE」を展開する S.RIDE 株式会社 様 のデバイス運用事例をご紹介します。

S.RIDE 様では、タクシーアプリをはじめ複数のサービスを展開しており、現場のドライバーが効率的かつ安全に業務を行える環境づくりが求められていました。その課題解決の一端を担うのが、各車両に搭載された 車載タブレット です。
このタブレットは単なる配車端末(配車リクエストを受信する端末)にとどまらず、ナビゲーションやキャッシュレス決済と連携する統合プラットフォームとして、現場の業務効率化を支えています。そして、この車載デバイスを適切に管理することこそが、S.RIDE 様のサービス品質を維持・向上させる重要な役割を果たしています。
今回は、サービス企画運営部 シニアプロダクトマネジャー 足立様に、CLOMO MDM を利用した現場でのデバイス活用について伺いました。
目次
車載タブレットの活用方法
各車両には Android タブレットが搭載され、主に配車リクエストの受信に利用されています。運行中はカーナビやメーター、キャッシュレス決済システムとも連携しています。
▽S.RIDE 様の管理されているデバイス
| OS | Android |
| 機種 | Ascon Neo |
| デバイス支給対象 | 提携タクシー会社向け車載器 |
▽S.RIDE 様が展開する「S.RIDE」の画面例

従来は無線電話や専用端末でのやり取りが主流でしたが、アプリを活用することで、ドライバーと配車システム間のコミュニケーションが格段にスムーズになりました。
電子機器特有の課題(過熱や電源管理など)もありますが、エンジン稼働に合わせた起動制御やセーブモードを活用することで、安定運用を実現しています。
CLOMO でのデバイス運用の工夫
CLOMO MDM を活用し、現場では以下のような工夫がなされています。
・アプリ構成ポリシーの活用
- 運行時間外にアプリを自動アップデートするタイマーを設定。
- 夜間の業務に影響を与えず、24時間稼働に対応した柔軟な運用を実現。
・業務専用端末としての制限
- 専用ランチャーアプリを利用した Dedicated Device モード(キオスクモード)や
Managed Google Play を活用。
- 業務に不要なアプリの利用や不正インストールを防止。
・構成管理の効率化
- 数千台規模のデバイスを対象に、QR コードプロビジョニング や 自動適用機能 を活用。
- 新旧デバイスを含む複数構成を効率的に管理。
PICK UP!:アプリ構成ポリシーでアップデート作業を自動化
「特にアプリ構成ポリシーの予約機能の実装は大きく運用が改善されました。夜間の専用アプリのアップデートを自動化でき、管理者が深夜に手動で作業する必要がなくなりました。」と足立様は語ります。
24時間稼働するタクシー業界にとって、運行を止めずにアプリのアップデートできることは重要なポイントです。
S.RIDE 様では、アプリ構成ポリシーを活用し、以下のようなアプリ運用を実現しています。

S.RIDE 様では、デバイスにポリシーを適用する際、Devices 画面で複数のデバイスを選択し、「このデバイスの操作」からアプリ構成ポリシーを一括で適用しています。
これにより、運行中の端末に影響を与えず、管理者の作業負荷も大幅に削減できています。
▽アプリ構成ポリシーの詳細はこちらをご覧ください。
https://support.clomo.com/?page_id=1294
制限と利便性のバランスの考え方
車載タブレットの運用において最も重要なのは、セキュリティを確保しつつ、現場での利便性を損なわないことです。
S.RIDE 様では、そのバランスを取るために Managed Google Play と Dedicated Device モード(キオスクモード)を活用し、利用できるアプリをあらかじめ厳選、設定変更も触れられないようにすることで、不正利用やトラブルを未然に防いでいます。
S.RIDE 様では、自社で独自のランチャーアプリを開発し、運用を行っています。アイコン配列やクイック操作などを自由に設定できるようにすることで、利用者の操作性を高め、日々の使い勝手向上に大きく貢献しています。
このランチャーアプリは Managed Google Play を通じてプライベートアプリとして配布され、専用端末アプリを利用する Dedicated Devices モードで利用できるようにしています。ここで特筆すべきは、あえてデフォルト起動アプリとして設定していない点です。これにより、万が一のトラブルや緊急時でも柔軟に切り替えや対応ができるよう配慮されており、安定した運用を実現しています。
ただし、「完全に閉じた環境」では現場の使い勝手が損なわれてしまいます。
そこで工夫されているのが、 ”プロファイルを利用した Google Chrome の限定利用” です。
例えば「ちょっと調べ物をしたい」といった場面に対応できるよう、アプリ権限設定プロファイル や アプリ管理プロファイル を細かく組み込み、特定の利用方法にのみ対応できるよう制御しています。こうすることで、不要なアクセスや情報漏洩のリスクを抑えながらも、利用者にとっての柔軟性を残しています。
▽ Google Chrome のアプリ権限設定プロファイル

「基本は決められたアプリしか使えませんが、Chrome は “困ったときに少し調べられる” 程度に開放しています。完全に閉じてしまうより、現場の声に応えられるバランスを意識しました。」と足立様は仰っていました。
アプリ管理設定プロファイルを利用することで、S.RIDE 様のように Google Chrome の使い方をより限定的に、セキュリティ高く運用することができます。Chrome に設定できる各項目の詳細は以下のマニュアルにまとめられています。
▽【Android】Google Chrome のアプリ管理設定プロファイルの設定項目
https://support.clomo.com/?p=62224
現場で稼働するデバイスならではの課題と工夫
数千台単位で運用していると、デバイス交換や SIM カード管理の課題も出てきます。
S.RIDE 様では CLOMO PANEL を活用し、デバイス交換手順の標準化など業務フローの最適化に取り組んできましたが、まだ解決すべき点が残されています。
特に直近の課題となっているのが、定期的に発生するデバイス交換に伴う SIM カードの紛失リスクです。万が一紛失が起きても、どの回線に紐づく SIM なのか特定が難しいという現状があります。
「CLOMO のメモ機能や不正 SIM 検知アラートの活用、さらには他システムとの連携も視野に入れながら、より確実に管理できる方法を模索しているところです」と足立様は語ります。
まとめ
タクシーのアプリ配車の普及とともに、デバイス管理の重要性は高まっています。S.RIDE 様はCLOMO を活用し、日々の運用をよりシンプルで安心できるものへと進化させています。
CLOMO を活用することで、配車サービスの安定稼働を支える基盤が整い、現場の負荷を減らしながらサービス品質を高めています。
S.RIDE 様の事例は、CLOMO を活用してアプリ配信や端末管理を効率化し、運用の手間を減らしながら安定したサービス提供を実現した好例です。今後もサービスの成長を支える基盤としての活用が期待されます。
S.RIDE 様の CLOMO 導入事例は、株式会社アイキューブドシステムズ コーポレートサイトへも掲載しております。是非、こちらもご覧ください。
株式会社アイキューブドシステムズ CLOMO カスタマーサクセス担当