いつも CLOMO をご利用いただきありがとうございます。
カスタマーサクセス担当の石村です。
今回のコラムでは、12月18日に全面施行される「スマホソフトウェア競争促進法」(通称:スマホ新法)について、法制度の概要と CLOMO MDM での備え方についてご紹介します。
目次
スマホソフトウェア競争促進法とは
スマホソフトウェア競争促進法(以下、スマホ新法)は、スマートフォンのアプリ市場や OS に関する競争をより公平にし、利用者・開発者双方にとって開かれた環境を整備することを目的とした法律です。
主に以下の領域で、公正取引委員会が規制対象事業者として指定した、モバイル OS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン(いわゆる「特定(スマホ)ソフトウェア」)を提供する事業者に対し、一定の義務や禁止事項が課されることになります。
- アプリストアの公正性確保
特定のアプリやサービスを不当に優遇・制限しないこと - アプリ配布経路の開放
代替アプリストアなど、複数の入手経路を妨げないこと - 決済手段の選択肢拡大
アプリ内決済で独自の制限を設けないこと - OS・ブラウザ等の選択自由の確保
プリインストール・既定アプリの扱いについて競争を阻害しないこと
つまり、この法律の全面施行により、App Store や Google Play だけではない、第三者によるアプリ配布プラットフォームの利用が促進されると見込まれます。これまで公式アプリストアから独占的に提供されてきたアプリの流通経路が緩和され、今後は多様なアプリストアや配布方式が登場することが予想されます。
また、標準アプリの選択肢が広がることも大きな変化のひとつです。メールアプリやブラウザアプリなど、従来プリインストールされているアプリに限定されていた領域でも、ユーザーが自由に選択できる範囲が広がり、デバイス内のアプリ利用がより柔軟になると考えられます。
企業のモバイル運用はどう変わる?
MDM 管理者という立場では、現状と同レベルのセキュリティを担保するにはどうすればよいのかと頭を悩ませる部分が多いかと思います。
一方で、モバイルデバイスを活用するための選択肢や方法が、今後増えていく可能性があるというメリットもあるのではないかと考えております。
そこで、スマホ新法の全面施行が企業のモバイル運用に与える影響について、以下のとおりピックアップしてみました。
1. アプリ配布・調達の選択肢が増える可能性
これまで公式アプリストア中心だったアプリ配布の仕組みが、今後はより柔軟になる可能性があります。他ベンダーのアプリストアやサードパーティアプリストアが利用しやすくなることで、業務用アプリの調達・管理方法の選択肢が広がると考えられます。
2. アプリの審査・公開スピードが変化する可能性
インハウスアプリを AppStore や Managed Google Play で限定公開してご利用されている場合、今後は、アプリストア側の運営ルールの透明化が進むことで、審査プロセスにおける “不確実さ” の軽減が期待されます。これにより、アプリ開発から公開までのリードタイムが安定することが予想されます。
3. MDM への影響
最後に、業務利用しているモバイルデバイス管理への影響です。
代替ストアやアプリの新しい配布経路が増えた場合、以下のような点を意識した運用が必要になると考えられます。
- 利用させるアプリ配布経路の制御
- 設定ポリシーのアップデート
- デバイス側のアプリ利用状況の可視化や監視の強化
CLOMO MDM を使った備え方
スマホ新法そのものはプラットフォーマー向けの法律ですが、上述の通り、モバイルデバイスを業務利用している場合、「周辺環境の変化」が確実に生じます。
そこで、CLOMO MDM で利用できるおすすめ機能をご紹介します。
1. アプリ利用ポリシー(利用許可アプリ登録形式)(iOS・Android)
アプリ利用ポリシーとは、「管理者が許可していないアプリ」がデバイスにインストールされたらアラートを上げることができる機能です。
「許可するアプリを登録する」「許可しないアプリを登録する」の 2 通りの形式がありますが、スマホ新法に備える場合は「許可するアプリを登録する形式」がおすすめです。
これにより、どのようなルートでアプリがインストールされたとしても、いち早く検知することが可能となります。(なお、利用する業務アプリが増えた場合には、必要に応じて設定の更新を行ってください。)

- アプリ利用ポリシーについての詳細は、「【PANEL】管理者が意図しないアプリの利用確認をする機能」をご確認ください。
また、Android デバイスは上記設定に加えて、管理プロファイルで「アプリ利用ポリシー違反検知設定」を「設定する」に変更する必要があります。
2. 制限設定プロファイルの新設項目(iOS)
スマホ新法対応のためと思われる制限項目が追加されています。
- 代替マーケットプレイスからの App のインストールを許可
- Webサイトからの App のインストールを許可

AppStore の利用を許可する運用を行われている場合、上記項目を利用することで、AppStore 以外の他の経路からのアプリのインストールを制限することができると考えられます。
しかしながら、本記事執筆時点では代替マーケットプレイスなどが存在してしておらず、実挙動の確認が行えないため、アプリ利用ポリシーとの併用などをおすすめします。
上記項目以外にも、従来からあるアプリに関する制限項目もご利用できますので、併せてご参考ください。
- App のインストールを許可(監視対象のみ)
- 新しいエンタープライズ App 作成者の信頼を許可
制限設定プロファイルの項目詳細や作成・編集方法については、こちらをご確認ください。
3. デバイス利用者への改めての周知
モバイルデバイスを業務利用する上でのルールとして、不要なアプリのインストールを禁止されている場合は、CLOMO MDM のメッセージ通知機能やメールなどで改めての周知を行うなど、ご検討いただけますと幸いです。
メッセージ通知機能については「メッセージ通知機能(iOS)」「メッセージ通知機能(Android)」をご確認ください。
まとめ
12月18日に「スマホソフトウェア競争促進法」(通称:スマホ新法)が全面施行されますが、一気に変化が訪れることはないと思います。しかしながら、徐々にかつ確実に変化が進んでいくと予想しております。
今後も、新たな情報をキャッチでき次第、続報としてご案内させていただきます。
なお、余談ですが、弊社顧問弁護士に確認したところ、MDM を通じて「アプリのインストールを企業のポリシーとして制限する行為」は、情報セキュリティ確保のために「企業が自社デバイスに対して行う内部的な管理」であり、特定少数の有力な事業者を対象に「市場競争を阻害する行為」を禁止するスマホ新法とは無関係とのことでした。
本コラムが、貴社の適切なデバイス管理の一助となれば幸いです。
参考文献(外部リンク):スマホソフトウェア競争促進法(スマホ法)
株式会社アイキューブドシステムズ CLOMO お役立ち情報コラム担当